◆ 花粉症について
スギなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどのアレルギー症状を起こす病気を言います。現在日本人の約20%が花粉症であると言われており、行政も杉の伐採などを始めていますが、効果が出てくるのは少なくとも10年以上先になりそうです。
◆ 免疫療法(減感作療法)について
局所薬である点鼻薬、点眼薬に加えて抗アレルギー剤を内服するのが一般的です。当院では漢方治療も行っています。しかしこれらは対処療法であり、根治が期待できるものではありません。
これらの治療に対して花粉症の寛解を目指す唯一の治療法が免疫療法(減感作療法)です。
免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質を少ない量から徐々に増やしつつ体内に入れて、アレルギー反応を抑えることを目的とする治療法です。
現在のところ、日本ではスギ花粉のみが保険適応となっています。ダニに関しては現在治験が進行中です。
◆ 当院での免疫療法について
当院では開院以来、スギの皮下注射免疫療法(SCIT)を行っていました。
平成26年10月、新たにスギの舌下免疫療法(SLIT)の治療薬「シダトレン」が発売となり、保険診療が可能となりました。

当院ではSCITとSLITの保険診療が可能です(併用はできません)。
◆ 具体的な治療方法について
初診時にアレルギー検査、問診などを行いアレルギーの重症度を確認します。

SCITの場合、9月頃までに薄い濃度のスギ花粉エキスの注射を開始。可能であれば1週間に1〜2回程度来院していただき、徐々に濃度を上げて行きます。最高濃度に達したらシーズン中はそのまま2週に1回の注射を継続し、シーズン終了後は2〜4週間に1回、注射を続けます。このような方法を大体3年から5年くらい続けていきます。

SLITの場合、11月末までに開始します。シダトレンというスギのエキスを舌の下に滴下し、2分間おいた後に飲み込みます。最初の2週間で徐々に量を増やし、3週目からは同じ量を続けることになります。
1回目の投与のみ、当院で行いますが、以後は自宅で行います。
◆ 適応となる方、適応とならない方
適応となる方
・スギ花粉症の症状が非常につらく、薬を減らしたい方
・スギ花粉症の時期以外ではアレルギー症状がさほど出ない方
(この治療はスギ花粉症のみにしか効きません)
・将来の妊娠、受験などに向けて少しでも良くしておきたい方
適応とならない方
・妊婦さん
・重症喘息がある方
・重度の心疾患がある方
・癌の治療をしている方
・免疫抑制剤、ステロイド経口投与などの治療を行っている方
・βブロッカーという降圧剤を内服されている方(他剤に変更する必要があります)
◆ 免疫療法の治療成績について
施設によってまちまちですが、おおむね20%は著効(症状がなく薬を必要としなくなる)60%は有効(薬は必要とするが、少ない薬の量で症状をコントロールできる)、20%は無効(症状があり、薬の量も変わらない)というのが平均的なところです。
◆ 治療の合併症について
アナフィラキシーという、生命にかかわる重大なアレルギー反応がごく稀に起こることがあります。
注射20万回あたり1回起こると言われています。
このような合併症を予防するため、当院ではSCITの場合、濃度を上げたときは15分間院内にいていただくことにしています。また、体調が悪いとき、風邪をひいているときなどは注射を行いません。
SLITの場合は、SCITのような生死にかかわるアナフィラキシー反応はこれまでのところ報告されていませんが、可能性はあります。SCITと同様に体調が悪いとき、風邪をひいているときなどはシダトレンの投与は行いません。
他に口内炎、口腔内の腫れなどが出ることがあります。口腔内に傷がある時、歯の治療中の方は治療を行いません。
◆ SCIT(皮下:注射)とSLIT(舌下:滴下)のおおまかな比較
SCIT SLIT
治療内容 腕に0.1cc〜0.5ccのスギ花粉エキスを注射 舌下にスギ花粉エキスを0.2cc〜1cc滴下
通院間隔 当初はなるべく週1〜2回来院して濃度を上げていきます。以後は2週〜4週に1回来院し、その都度注射します。 注射後は激しい運動は禁止です。 新薬のため、平成27年10月までは2週に1回の通院が必要です。
舌下治療は自宅で毎日行います。
服用前後2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴を避けてください。
治療期間 3〜5年
2年間加療を続けても効果がない場合は、その時点で継続するかどうか相談しましょう
3〜5年
2年間加療を続けても効果がない場合は、その時点で継続するかどうか相談しましょう
治療成績 20%著効、60%有効、20%無効 ほぼSCITと同様です。
治療成績はSCITの方がやや優れている、という報告があります。
副作用 アナフィラキシーが20万回に1回
注射部位の腫れ、痛み、注射後の前身の蕁麻疹、顔面の発赤腫脹などがあります。
当院ではこれまでアナフィラキシーの事例はありません。
生命にかかわるアナフィラキシーはこれまで報告されていません。
口内炎、口腔内の腫れ、痒み、咽頭刺激感などの副反応が出ることがあります。
年齢 基本的には12歳以上
それ以下の場合、あまりにも症状が強い場合には応相談です。
12歳以上(11歳までは保険適応となりません)
費用
(3割負担として)
一回の通院につき500円程度 月あたり3000〜4000円程度
治療開始時期 なるべく8月末まで
遅くとも9月末まで
6月から10月末まで
お勧めの方 クリニックに家もしくは職場が近く、通院が問題にならない方 家が遠いが、近くに免疫療法を行っている医療機関がない方
注射が嫌いな方
なるべくリスクを避けたい方
メリット SLITよりやや治療成績が良い
維持期には、2〜4週に1回の通院で注射しておしまい(混雑時には順番に関係なくお呼びします)
アナフィラキシーのリスクが少ない
自宅でできる
デメリット アナフィラキシーのリスクがある
注射が痛い
注射後院内で15分待つ必要あり (受付時間の30分前までに来院する必要があります)
毎日2分間を3〜5年:これは結構面倒くさいと思います
費用がSCITより高価
副作用のリスクが低いSLITの方が、色々な縛りが多いのはなぜでしょうか?
これまでの免疫療法(SCIT)は、ごく限られた医療施設で、アレルギーの知識と経験を持つ医師のみが行っていました。
今回、SLITが導入される場合、間口が広がり、これまで免疫療法の経験のない医療機関も治療を行うことになります。このような状況でなるべくリスクを減らすため、あえてSLITには色々な制限がある、という訳です。
◆ 治療を始める前に
・通院期間は3〜5年に及びます。根気が入ります。
・免疫療法は、花粉症の根治を目指していますが、
全員に効果があるわけではありません。20%は無効です。
・効果があって終了した場合でも、その後効果が減弱することがあります。
・通年性のアレルギー性鼻炎、他の季節のアレルギー性鼻炎には効果がありません。
・アナフィラキシーのリスクがあります。
◆ 治療を希望される方へ
ここまでで上記の説明は読んでいただいていると思いますが、再度熟読してください。
免疫療法の仕組みなどについては【鳥居薬品のアレルゲン免疫療法専門サイト】も参考にしてみて下さい。
質問がある方は受診時にスタッフか医師に聞いてください。
◆ 舌下免疫療法を希望される方へ
平成27年10月までは2週に1回の通院が必要となります。以後は4週間処方が可能になります。

服用前後2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴を避けること、となっています。となると、おそらく社会人の大半の方は朝の服用になるでしょう。朝の2分間を3〜5年です。

初診時は問診および、必要な場合はアレルギー検査などを行います。また、当日より治療を行う場合は舌下後30分院内にいていただく必要があります。午前は12時まで、午後は17時までに来院してください。

この時間を過ぎた場合は、当日の治療は基本的に行いません。
安田内科クリニック
埼玉県さいたま市浦和区高砂2-2-20 Kビル2F
TEL 048-835-2188